くだらないの中に

TEAM NACSとか

渋谷らくご(シブラク)/2018.01.13

 

2018年こそは落語を聴きに行こう、寄席に行こうと決めまして。こういう趣味のことになると行動が早い性分のため、思い立って速攻でチケットを取り、行ってきました渋谷らくご(通称シブラク)。とはいえ、やみくもにチケットを取ったわけではありません。気になる、落語家さんが出演されると分かったから、チケットを取ったんです。その落語家さんは、柳亭小痴楽さん、という方。現在29歳、二つ目の落語家さんです。私正直全然落語詳しくないので、二つ目とは何ぞや?という感じなのですが、調べる限りだと私たちがテレビで見るような落語家さんというのは、「真打」と呼ばれる方々のようで、落語家の身分のうえではもっとも高い位。落語家さんは前座→二つ目→真打と進んでいくようで、二つ目はちょうど真ん中になります。小痴楽さんは、真打を目指して頑張っている最中ということですね。ちょっと長くなってきたので、小痴楽さん気になるなぁと思ったきっかけは、また今度。

 

シブラクは、渋谷にあるユーロスペース内のユーロライブというところで毎月2週目の金曜日から6日間にわたって開催される落語会です。一級品の腕前を持つ師匠方(真打)から才気あふれる二つ目まで、一律1人30分の持ち時間で噺をしてくれます。落語と聞くと「お客さんも年配の方が多いんでしょ?」と思われてしまうかもしれませんが、シブラクは若い方が多い! 逆に想像するような年齢層の方のほうが少ないです。可愛らしい方、綺麗な方、も大勢でびっくりしました。180名弱の小さな会場。みなさんが開演をそわそわと待っているのは、ストレートプレイの舞台を観に行ったときに感じる雰囲気と同じ高揚感がありますね。

 

1.立川談吉…蝦蟇の油

新年ということもあってか、黒の紋付き袴での登場。談吉さんは立川流ということで、入門当時の話を枕でしてくださいました。社会人経験もない状態で入門したので、お酒の席のふるまいが分からず怒られたとか、談志師匠の睡眠薬&ビールの話から酔っ払いの話になり、蝦蟇の油へ。あらすじ。まずは主人公であるガマの油売りの口上。ハキハキと魅力的に話す口上のかいあって、油は飛ぶように売れる。儲けたお金で飲み屋に行ったは良いものの、飲みすぎてベロベロに。しかしながらまだ日が高いと、酔っぱらったまままた商売を始めようとするが…。いやー、冒頭の口上が凄い! ハキハキと良く通る声は気持ちが良く、とっても格好良かった。そしてベロベロになってからの落差。眠たそうに何度も手で顔を洗う様子がおかしくて、とっても面白かったです。

 

2.柳亭小痴楽浮世床ー将棋・夢ー

待ってました小痴楽さん! まずは先ほどの談吉さんの紋付き袴を褒める。小痴楽さんは紋付きが苦手だそうで、全部紋を入れてないそうです。小痴楽さんはお父様も落語家さんなのですが、2009年に亡くなっているようで、そのお父様のお墓参りの話や命日に決まってかける噺のエピソード、年末にウィルス性胃腸炎になったときのお母様とのお話、現在の師匠と弟弟子との話が枕でされていました。噺はもちろんなのですが、枕が本当に面白かった。お客さんもとっても笑っていた印象です。途中でお客さんいじりなんかも入れてね、フリートークとかが得意なのでしょうか。演目の浮世床は、調べる限りオムニバス形式の話のようで、その中から、「将棋」と「夢」をやってくださいました。小痴楽さんの威勢の良い話し方が好きです。”江戸っ子”という感じがして、落語を聴いていると実感できるし、映像が頭に浮かびやすい。とてもワクワクして聴けます。あらすじ。昔の髪結い床は町の若者の集まる場所だそうで、そこで一日中、無駄話をしていたそう。その中でずーっと寝ているのは界隈でも評判のモテ男。なにか最近モテたエピソードは無いかと尋ねてみると、芝居を観に行ったときに見つけた美女との話をし始めるが…。気になる落語家さんとはいえ、まだいくつかしか噺を聴いたことがないのであれですが、小痴楽さんが女性をやるのに少し新鮮さを感じました。でも、女性を演じるというより、そのモテ男が女性の話をするために女性の様子を演じている、という感じだったので、綺麗な女性のはずなのに変な顔とかしていて、それがまたおかしい。いやー、気になるから、完全に「好き」にシフトした感じがいたします。面白かった!

 

3.春風亭百栄…寿司屋水滸伝

会が始まる前、キュレーターのサンキュータツオさんが「百栄師匠は妖精」とおっしゃっていたのですが、ほんとうに妖精だった(笑)50歳過ぎた男性なのですが、なんというか持っている空気感がフワーっとしていて、私のイメージする落語家さんとは反対に居る方だったので、最初とってもびっくりしました。色んな方がいるのですねぇ。アイドルになりたいと仰ったり、寝る前に聴く落語の話や海外で生活されていたときの話を枕でしてくださいました。寿司屋水滸伝は、いわゆる新作と呼ばれるものでしょうか。あらすじ。2代続く老舗寿司屋の跡を継ぐことになった洋食シェフの息子。寿司が握れないからと寿司職人を雇っていたが、息子の人柄のせいでみな辞めてしまう。仕方なく息子本人が寿司を握ることになったが…。こういうお話もあるんですねー。すごく新鮮でした。たくさんの登場人物がポンポン出てきて、テンポが良く、とっても面白かったです。

 

4.柳家わさび…幇間小僧

わざびさん、二つ目の方ですがトリです。落語は真打がトリを任されるので、通常でしたら百栄師匠がトリをやるのが順当なのですが、シブラクではこうして時々二つ目がトリを任されることもあるそうです。わさびさんは、小痴楽さんと『落語ディーパー!』に出演されていたので存じ上げておりました。サンキュータツオさんには、「身長が180近くあるのに、体重52キロ! 死ぬよ? 結核なんじゃない?」と言われておりました(笑)あ、あと「芸人には一番向いている、ちょうどいい嫌な奴」というコメントも(笑)落語は、前の方がやった噺はもちろん、同じようなエピソードが出てくる噺はかけないようにするルールがあるそうです。だから、前の3人がやったような酔っ払いとか寿司が出てくる話はNGだそうです。厳しいんですねぇ。そこでわさびさんがやったのは、こちらも新作、幇間小僧。子役が通うキッズスクールに太鼓持ちの授業がある世界。4歳8カ月のしめたろう君が、年齢に似合わぬ太鼓持ちで大人を驚かせるが…。わさびさんの演じるしめたろう君がめっちゃ可愛かったですね。わさびさんの風貌からは想像できない声でびっくりしました。携帯電話が出てきたりと現代のお話なので、まるで一人コントの世界です。とっても面白かった!

 

いやーこれは面白い。しかも今回2列目のほぼセンターで観ることが出来たので、落語家さんの表情や手の動きがしっかり見えて、とても興味深かったです。これはハマりそうだ。落語、また一つ趣味が増えそうです。スケジューリングが大変だなぁこれは。笑

 

※まだ知識が少ないので、この感想の中でももしかしたら間違った単語を選んでしまっている可能性があります。もし落語に詳しい方がこれを読んでくださった場合は「初心者か」と優しく見逃していただければ幸いです。