くだらないの中に

TEAM NACSとか

スマートモテリーマン講座2017

 

またまた昨年の話で申し訳ないのですが、昨年の秋から年末にかけて上演されました、「スマートモテリーマン講座2017」を観てきましたので、感想をば。

一言で申し上げるのであれば、「芸達者が揃いましたね」ということ。顕さんはいつものことですが、ヒロインの若月さんにしてもシソンヌにしても、まぁ揃いも揃って器用。過去3回のモテリももちろん素晴らしい演者さんたちではあったのですが、ここまで顕さんを喰える(または喰う可能性を少しでも感じた)方が多かったのは、今回が初めてだったのではないかと思っています。

 

ひとまずあらすじ。今回主人公となるモテないサラリーマンは所謂2次元オタクの卓(すぐる)。エヴァンゲリオン綾波レイと結婚したいと真剣に思っている27歳です。このままでは彼の結婚は来来世となると思われていた矢先、(行きつけの美容院の手違いで綾波レイそっくりの髪色かつショートボブにされてしまった)新人、可憐ちゃんが現れ、一発で恋に落ちます。とはいえ、3次元の女子とほとんど会話もしたことのない卓が、どうやって可憐ちゃんをモノにするのか。彼らをケーススタディーに学んでいくという内容です。ジャケットプレイと壁ドンを自由自在に操るモテ同僚に水田さん、戦争ゲームオタクの同僚にシソンヌじろうさん、部長役にシソンヌ長谷川さんという配役でした。

 

特筆すべきはシソンヌ。特にじろうさんです。私はこれまでシソンヌとしてのネタはきちんと見たことがなく、LIFE! での彼らしかほとんど知りませんでした。とはいえ、コントが凄い、キャラクターが凄いと耳にはしていたので期待をしてはいたのですが、その期待を大きく上回ってきました。今回のモテリは2時間半と結構長尺だったのですが、その中でも一番笑ったのはじろうさんが演じる可憐の大学時代の友達「よしえ」でした。よしえ独特の喋り方はもちろん、動きからなにからもうおかしくておかしくて。ちょっと呼吸できなくなるくらい笑いました。あんなのもう飛び道具ですよ。福田さんは演出家ではありますが、稽古時はギリギリまで演者に任せて遊ばせておくと聞いたことがあります。ということは、あのよしえも福田さんの指示ではなくじろうさんの作り上げた世界、ということなのでしょうか。脅威だ。あれはもはや脅威です。よしえの口癖「あ、そ~れっ」をモテリーマンが思わずマネするシーンがありますが、確かにあれは中毒性があるし、真似したくなる。口に出して言いたい日本語。長谷川さんも負けていません。比較的強めの単語を使用するツッコミですが、それが全て的確なので「キツイな」という印象は受けませんでした。今回も例に漏れず複数回観にいった私ですが、同じシーンであってもツッコミ(または台詞)を少しずつ変えてきていて、そのどれもが的確で面白かったので、凄いなぁと感心してしまいました。そして、長谷川さん、顕さんを手懐けましたね。顕さんはモテリーマンで一緒になる芸人さんと仲良くなる傾向にありますが、今回はそれが顕著に出ていた。確実に顕さんの方が先輩、だとは思うのですが、長谷川さんのキャラクターとしてそういうのを気にせずバスっと切れ味良く突っ込むので、そこがもしかしたら楽しかったのでしょうか。一緒に沢山お酒も飲んでいたようで、嬉しそうでしたね。舞台上で長谷川さんに度々暴露されていました。「酔っぱらってコンビニに行って店員さんに『お酒をください』と言うのはやめてください」「(新幹線に乗ってからならまだしも)なぜ東京駅で待ち合わせをした時点で酔っぱらっているのか」「日本酒の妖怪」など。顕さんが楽しそうで、ファンとしては何よりです。

そしてヒロインの若月佑美さん。とっても可愛い女の子なのですが、さすが福田さんが選んだだけあって、可愛いだけじゃなかったですね。アニメ声は上手だわ、ヤンキーやるわ、ワンピ○スのフラ○キーを全力でやるわ、まぁ芸達者。キャストが発表されたときは「乃木坂かー」と正直思ったものですが、観ているうちにどんどん好きになりました。

 

そういえば今回千秋楽を観に行くことができたのですが、その際、モテリーマン史上初かな、客席に降りたんですね。うまい具合に薔薇をあしらった籠(今回は籠でした)で登場して、薔薇を客席に投げるのですが、その際、舞台から降りて、1階の奥のほうまで闊歩していました。私は千秋楽、1階の真ん中あたりの列だったのですが、まさかこんなところまで顕さんが来るとは思わなかったのでびっくりしました。過去に2列目くらいで観たことはありましたが、それとはまた別のドキドキがありました。

千秋楽だったからか、カーテンコールで福田さんが登場。そしてキャスト一人ひとりの挨拶がありました。その際顕さんが「千秋楽なんですが、なんだか途中からフワフワしてきてしまって」とおっしゃっていたのですが、私は正直、それを途中から感じていました。何度も観ていると、次はこの台詞だとか、台詞と台詞の間がどれくらいだとか、ある程度分かるようになってしまうのですが、千秋楽を観ていて、顕さんがいつもより噛んだり、間が普段と違うなと思うことがあったんです。冒頭舞台から降りたとき、顕さん実は転んでしまうハプニングがあったのですが、それがあったので「もしかして怪我してしまったのかな?」「調子悪いのかな」とかずっと気になっていたんです。けれど、千秋楽で顕さんの口からその言葉が出たので、怪我じゃないことは分かったのですが、でもその分別の意味で少し心配になりました。モテリーマンは相当体力を使う舞台です。顕さんはほとんど出ずっぱりだし、セリフ量も膨大、そしてモテリーマン独自の謎の動きも相まって、相当疲れると思うんです。踊るしね。前回のモテリから5年。顕さんはもう44歳。疲れないわけがないんです。しんどかったんじゃないかな、なんて。勝手に心配してしまいました(顕さんが全然そう思っていなかったら申し訳ないのだけれど)。だから、福田さんが「今回で、モテリは一旦終了、集大成」と話したとき寂しい気持ちはもちろんありましたが、少し納得してしまった気もしたんです。まぁ結局福田さんも顕さんも「また次もやりたいね」という気持ちになっていたようなので、またいつかモテリーマンに会える可能性は出てきましたが、あまり「いつかな」と思わず気長に待ちたいなと思いました。

 

テリーマンを観るとね、やっぱり顕さんって凄いなぁと思うのです。振り幅がおかしい。なんで武骨な所轄刑事から繊細なハンサムから、女性のパンツを覗いて下ネタ連発してニヤニヤするような変態講師までできるのかしらと。不思議でしょうがないんです。けどそれを観ることができる私は、顕さんのファンは、いつも新鮮で新しい彼を観ることができて、本当に幸せ。それだけは間違いないのです。2か月にわたり、お疲れ様でした。またいつかモテ講師に会える日を、楽しみにしています。顕さんが挨拶で口にしていた通り、こんな何も考えずに笑って観られる舞台が、いつまでも上演できる国でありますように。