くだらないの中に

TEAM NACSとか

『みかづき』森絵都

 

中学生、もしかしたら小学校高学年辺りから、

森絵都さんの本を読んできました。

森絵都さん、今では直木賞も受賞されて、

大人の読み物を書かれるイメージがあるかもしれませんが、

スタートは児童文学です。

そして私も、その児童文学から森絵都さんの作品に触れた一人です。

森絵都さんの作品の中で、一番好きなのは『カラフル』です。

今まで読んだ本の中でも、一番好きなのは『カラフル』です。

2回くらい図書館で借りて読んで大好きになったあと、

高校生の時にハードカバーで購入したのだけれど、

当時大好きだった人に貸して、そのまま返ってきていません。

もう彼の連絡先は分からないし、

連絡を取らないと約束をしてしまったので、

私の手元に戻ってくることは、だぶんありません。

そんな苦い思い出がありながらも、私は変わらず『カラフル』が好きだし、

森絵都さんの作品が大好きです。

(一発で”もりえと”を”森絵都”に変換出来ないのが悔しい)

 

以前にもこのブログに書いたかも分かりませんが、

私はハードカバーで本を買うことは滅多にありません。

好きな作家さんは何人かいるので、

本屋で新作を見かければ「読みたいな」とは思いますが、

そのままレジに持っていくことは数えるほどです。

(好きな芸能人のエッセイ等は別。あくまで文学作品の話。)

私の本好きは小学生の図書室、からスタートしたので、

あくまで読書はお金のかからない(かかっても安い)手軽な娯楽。

大人になってもこの域を超えていないのかもしれません。

 

そんな私ですが、この『みかづき』はハードカバーで購入しました。

何故なら、サイン本と出会ってしまったから。

単純ですね、いたってミーハーな動機。

転職活動で神保町近くに伺う用事かあり、

面接終わりに立ち寄った三省堂書店神保町本店で、

サイン本のポップが掲げられている『みかづき』を見つけて、

迷うことなくレジへと並びました。

森絵都に出会ったのが13歳として、14年もの間好きな作家さんの、

サイン本を見かけて購入しないという選択肢が私の中にはありませんでした。

ホクホクした気持ちで帰宅したものの、

よく考えてみればこの作品、467ページの大作。

久しぶりにこんな厚い本を読んだもので、

思いのほか読み終えるまでに時間がかかりました。

 

さて、前置きが900字を超えましたね(笑)

相変わらず感想を書くのは苦手なので、

暇な人だけ読んでください。

(内容にも触れますので、これから読む予定の人は注意です)

 

 

小学校の用務員をしていた大島吾郎は、

その学校に通う蕗子の母千秋と共に、当時は珍しい塾を経営することになる。

”千葉進塾”、そして大島家を中心とした塾教育に関わる者たちの、

46年にも及ぶ物語。

 

とまぁざっくりまとめるとこういう感じです。

少し彼らの方が若いとは思いますが、

たぶん大島吾郎と千秋は私の祖父母世代で、

蕗子あたりは自分の両親くらいの世代だと思います。

そして私は、一郎より6つほど年下、でしょうか。

私は所謂ゆとり世代とくくられているのだと思いますが、

念のため言えば、習った円周率は3.14でした(笑)

私の頃は、塾はもう当たり前にあって、

受験生ともなれば塾に通うのは当たり前でした。

御多分に漏れず、私も高校受験の前に通っていました。

数学が死ぬほど出来なかったんですよね。

だから、世間から塾が疎まれていたことも、

塾に通うこと、親が塾に関わっていることが、

からかいの対象になってしまうんだということにまず驚きました。

出来ないところを補うために、

または学校で教わる以上のことを学ぶために、

塾に通うのが何が悪いのか分かりませんですが、

学校教育が絶対、という時代だったのでしょう。

そんな中烈火の如く走り続けたのが千秋であり、

その千秋の言葉がこの本のタイトルになっているというところが憎く、

読んでいてゾクっときました。

そしてこのタイトルは、本の中に出てくる吾郎の自伝にもなっており、

この本自体が吾郎の自伝なのでは!と思わせてしまうのがまたもや憎い。

(読み手が吾郎→千秋→一郎と変わっているのでそれはないけど)

 

本とは、得てしてそういうものなのかもしれないけれど、

森絵都さんの本は、人との出会いと、

その出会いによって流される人物がよく描かれているように思います。

千秋のように目標を持ちガンガン攻める人というよりは、

人と出会ったことがきっかけで思いもよらない道を進むことになってしまった。

みたいな。

この作品でも吾郎と一郎はそんな感じ。

勉強が苦手な子に放課後教えていた吾郎は教育者になろうとは思っていなかっただろうし、「自分は教育者にはならない」と突っぱねていた一郎が、今までに無かった学習支援の会を立ち上げたのも、全ては人との出会いから。

吾郎は千秋、一郎は萌・美鈴・寛子。

人生何が起こるか分かりません。

でもそれが面白い。

それが人を成長させるんだな、と思いました。

 

あー、やっぱり感想書くの苦手だ!

駄文失礼致しました。